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シーズン総括その2~新規加入選手の明暗 [湘南ベルマーレ2011]

■期待されたレンタル移籍組
 スポーツにおいて誤算はつきものだ。時としてそれは嬉しいものにもなれば、悲しいものにもなる。そして最初の誤算は少々悲しいものとなった。
 今季レンタル移籍により湘南に加入した巻佑樹と佐々木竜太。共に田原豊、中村祐也と切磋琢磨すべき存在だったと思われる。しかしポジションを争うべきふたりが怪我で離脱を余儀なくされてしまった。結果巻と佐々木は開幕戦のスターティングメンバーとなる。
 開幕戦で2得点をあげた佐々木には大きな期待が寄せられた。昨年のチーム内得点王であった阿部吉朗のレンタル移籍があったために、得点力に不安があったからだ。しかし佐々木はその後スランプに陥る。そしてチームとしては最低限の仕事である “走る” ことを疎かにしていた部分もあった。第12節後には反町康治監督もその点に触れている。その後佐々木の運動量は格段に上がり、チームの一員としての役割をしっかり果たせるようになってきた。しかし今度はゴールが遠のいてしまう。31試合1,507分の出場でわずかに3得点。フォワードとしては物足りない以前の結果になってしまった。一方怪我のためにほとんど試合に出場しなかった中村は5試合253分で3得点。1年間戦力として計算できなかった部分は当然マイナス評価ではあるが、得点のにおいを漂わせるという点においては佐々木を凌駕していたことも事実だ。
 巻は第16節の怪我のために、シーズンの中盤以降はメンバーから外れてしまう。前線からの守備、体を張ったプレーには目を見張った。しかしやはり彼もフォワードである。12試合620分で無得点という結果には不満が残った。そして同じポジションの田原は、コンディションが整ってきた終盤においては彼らしいプレーが随所に見られた。攻撃時においてのポストプレイなどは数段上であったことはもちろん、これまでとは違いサイドに流れてチャンスを作るなど新たなスタイルも見出してきた。このふたりもシーズンの最初から最後まで、怪我もなく競い合っていればチームとしての結果も違っていたのかもしれない。

■活躍した新規加入組
 同じレンタル移籍組ながらジュビロ磐田から加入した大井健太郎は期待に十分応えたと言えよう。なかなかスタメンに定着できなかった磐田でのここ数年ではあったが、湘南では完全になくてはならない存在となった。シーズン途中からはキャプテンにも任命され、チームを後方から鼓舞し続けた。
 完全移籍で加入した西部洋平も同様だ。類い稀なる反射神経の持ち主という言葉は決して過言ではなく、幾多のピンチを弾き出した。
 そして嬉しい誤算だったのは、新規加入選手の活躍である。昨年は強化指定選手としてJ1にも出場した永木亮太。高山薫はサイドミッドフィルダーの位置に活路を見出しながらもフォワードである得点能力の高さも垣間見せて、35試合出場9得点。これはチーム内得点王である。怪我のためにシーズン中盤は離脱していた岩尾憲だったが、定評のあるセットプレイからのアシストを見せつけた。
 これらの大卒ルーキーに求められるものは “即戦力” である。今季加入のこの3人はまだまだ波があるものの、その才能を見せることには成功した。しかし今季もっとも成長を見せたのは、ユースから昇格した遠藤航だろう。昨年もユース所属ながらJ1に出場し得点も上げている遠藤だが、その魅力は隙あらば前を狙う攻撃力にある。シーズン当初のその攻撃の最もたるものは、ディフェンスラインからフォワードへ向けて放たれる非常に速いパスだった。それは効果的なこともあったが、反面パスをカットされピンチになる場面も見られた。それがシーズン中盤以降少しづつ変わってきた。
 アウェイで行われた第27節富山戦。2点を追う展開の中遠藤はディフェンスライン左寄りに位置しボールを保持していた。そこからペナルティエリア右手前に位置していたアジエルへ、ピタリと収まるパスを放ち得点へと結びつけた。決勝ゴールもセンターサークル付近でボールを保持していた遠藤から今度は左サイドを駆け上がる高山へロングパスを通したのである。
 前線に長身で体の強いフォワードがいれば、ディフェンスラインからはシンプルにそのフォワードを狙うだろう。しかし遠藤は広い視野からフリーの選手を見つけると、右だろうが左だろうが正確なロングパスが放てるのだ。湘南は今季からこれまでの守備を固めてからの速いカウンターという旧戦術を捨て、新たにボールを保持する戦術を目指し始めた。そしてその戦術にこそ遠藤はマッチする。今後の湘南の鍵となるのは遠藤なのかもしれない。

■埋まらなかった最後のピース
 これは湘南だけの問題ではなく、日本のサッカー界が抱える問題かもしれない。サイドバックの不足である。不足故に才能のある選手は上位チームから固まっていく。湘南になるとサイドバックらしいサイドバックの獲得はなかなか難しいのが現実である。2005年以降を見ると、初めてまともなサイドバックと呼べたのは2006年に加入した尾亦弘友希(現セレッソ大阪)。FC東京で出番に恵まれなかった彼であったが、湘南に移籍するとレギュラーに定着。プレーの質も少しづつ上がり2008年にセレッソに移籍した。そしてこの2年間、右サイドバックに定着する選手は生まれなかった。
 2008年にはかつて在籍した臼井幸平が帰ってくる。右サイドバックとしての能力と実績は折り紙つきだ。そして彼が加入してからは、今度は左サイドバックが定着しなかった。
 そこに今季、セレッソ大阪から石神直哉が加入した。期待される本格的な左サイドバックだ。先の尾亦選手とは同時期にセレッソに在籍している。尾亦は大きな怪我があったものの、怪我から復帰後もスターティングメンバーには石神が名を連ねていた。尾亦よりも上のサイドバック。そういう認識のもとの期待が大きかった。
 しかしその期待も儚いものだった。チームごとに戦術が違うように、同じサイドバックでも湘南というチームが求めるサイドバックではなかったのかもしれない。結果的にこの穴を埋めたのは山口貴弘だった。本来センターバックである山口である。守備力は申し分はなかったが、そのうえサイドバックとしての動きも様になっていたのだ。昨年もサイドバックでの出場機会があったが、いざドリブルでサイドを駆け上がってもその先の攻撃のアイデアがなかったように思えた。しかし今季は左足でセンタリングをあげ、ボールを預けた選手を追い抜く、中に切れ込んでシュートを放つといった攻撃面での向上が見られた。
 石神と山口は年齢が近く、中堅クラスだ。今季の選手構成を考えると、こういった切磋琢磨をすることによりチーム力を向上させるという面では成功だったかもしれない。しかしそれは、本来このポジションで考えられていたものではないはずだ。本格派左サイドバックとして期待された選手が加入したポジションでそれが起こってしまったことは、誤算というよりも悲劇と呼んでも過言ではないかもしれない。


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