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レビュー:J2 第20節 vsファジアーノ岡山 [湘南ベルマーレ2012]

湘南 2 - 0 岡山

  • 17分 高山 薫(湘南)
  • 52分 中村 祐也(湘南)

 


 試合開始から約10分。岡山の金民均のヘディングシュートは枠を捉えたものの、湘南ゴールキーパー阿部伸行が体を投げ出してそのボールを弾き出した。
 一方の湘南はその数分後、永木亮太のクロスに高山薫が頭で合わせてゴールを決めた。岡山のディフェンダーより一歩前に出たからこそ決めることができたシュートだった。

 

  この最初のビッグチャンスをものにした湘南が試合を制した。開幕戦で見せたような、相手の出方を窺うことなく自分たちのかたちを出し切り得た得点には、確実にその歩を進めたと感じられた試合だった。

 そしてもうひとつ。岡山の試合メンバーからは、今Jリーグ全体の問題点も見え隠れしている。

 首位山形に対して勝利を収めた前節から中3日で迎えた岡山戦。2週間で3試合の締めくくりとなる試合だ。古林将太が出場停止となったが、その位置には三原向平が入った。初出場となった18節富山戦ではディフェンダーとしての出場だったが、今節はミッドフィルダーだ。一番前のフォワードには中村祐也。13節松本戦以来のスタメンとなる。そして2列目のフォワードには永木亮太が入った。通常はボランチであるが、前節からはフォワードとして出場している。ボランチとしても常に攻撃に主眼を置く永木が、果たしてフォワードでどのような働きを見せてくれるのだろうか?

 対する岡山は勝ち点33で8位につけ、湘南との勝ち点は差は3。失点はリーグで2番目に少なく、攻め入るのは至難の業だ。影山雅永監督が就任して3年目を迎えるチームは少しづつ力を付けており、決してこの順位は意外なものではないだろう。また選手の自主性を尊重するという部分は、湘南の曹貴裁監督と通ずるものがある。
 しかし怪我人の多発と出場停止が重なり今節はベンチに4人の選手、そのうちのふたりはゴールキーパーという苦しい状況でアウェイに乗り込まざるを得なかった。

 先に述べたように先制点は湘南があげた。しかし岡山もシンプルに攻撃をしかけてくる。3人のディフェンスの横の部分。そこに長いボールを入れてキープし、何人かの選手が絡むことによってチャンスを作ろうと試みる。幾度か湘南の守備を崩しかかったものの、決定的なシュートの場面まではもっていくことができなかった。
 湘南は攻め込まれればミッドフィルダー高山薫、三原も守備に入り、守るべき場面でしっかり守れたということが大きかった。そしてボールを奪うやいなやスピードを上げ、人数をかけ攻撃に素早く移る。岡山にとっては攻めていながらもその後のことも考えなくてはいけないという、難しい状況であっただろう。また湘南は何度もディフェンスの横あるいは後ろにボールを入れられても、決してディフェンスラインを下げなかったということも大きかった。相手を待ち構えて守ろうとする姿勢が大事な時もあろうが、基本的には前に、ゴールに向かうということが湘南のスタイルだ。相手にまどわされることなく、自分たちのスタイルを貫いたからこそ、守備においてもいいかたちで望めたのだろう。

 後半開始直後、岡山は千明聖明のミドルシュートであわやという場面を作った。が、それでもなお湘南のディフェンスラインは高い。前線からディフェンスラインがコンパクトであるからこそ生きるハイプレスが、2点目を産んだ。中村がカットしたボールを永木がドリブルで持ち上がり、最後は永木の右側に並走していた中村へパス。中村は中村らしく、落ち着いてそのボールをゴールへと蹴り込んだ。
 一方でベンチワークも効果的だった。3人のディフェンスの横を再三狙われていたが、これを4人にすべく三原に代えて山口貴弘を投入した。三原も2本のミドルシュートを放つなどいい動きを見せていたが、岡山に隙をつかれないためにもこの交代は必然だっただろう。
 そして後半途中に投入された古橋達也、馬場賢治がボールをキープすれば、さらに攻撃のスイッチが入る。追加点こそ奪えなかったものの、攻撃の質、回数とも岡山を圧し、試合は終了した。

 攻撃的な位置に入った永木は非常にいい動きを見せた。前線でのプレス、フリーランニングはもちろんだが、2アシストという結果がすべてを物語る。試合終盤にはボランチになり相手を自由にさせない守備も見せた。勝てない試合が続いた時、永木は非常に前にボールを運ぼうという意識が強かったように感じている。その苦しい時期を払拭するかのような、ゴールに直結するプレー。チームだけではなく彼自身も一歩足を踏み出した試合だったのかもしれない。

 

 普段からJ2を気にしている方々にとっては、この試合での岡山のベンチメンバーを見て疑問を感じたかもしれない。岡山には背番号40番台の選手がいるほどの大所帯ではなかったのかと。今季発売されている選手名鑑を見ても、岡山には40名の選手が記載されている。
 岡山にはJFL入りを目指すためのアマチュアチームがある。昨年の天皇杯で湘南と対戦したファジアーノ岡山ネクスト(ネクスファジ)だ。若い選手を多く抱えるチームだが、実際にトップチームの試合に出られる選手が限られている。そして練習試合では公式戦のような緊張感のある試合を経験することはできない。今季は中国リーグに参戦しているが、そのネクスファジに14名の選手が転籍をしているのだ。

 2009年までは若手を育成するためのサテライトリーグがJリーグには存在していた。しかしこのサテライトリーグも怪我をした選手のリハビリの場であったり、出場選手のほとんどがユース所属の選手であったりと、本来求めていた若手を育成するためのリーグとはかけはなれたものになっていた。そしていくつかのチームはJFLを頂点としたアマチュアリーグに参戦するためのチームを作り、参戦するリーグの公式戦という真剣勝負の場での育成という道を模索した。下部リーグで活躍した選手をトップの試合に出す、といったことを前提としたものだ。
 しかしこれも2010年からの移籍ルール変更により状況が一変する。トップチームとアマチュアチームは別のチームであり、例えばアマチュアからトップに上がるためには「移籍」をする必要がある。そしてこの年から選手の移籍は春と夏の、移籍ウインドウが開いている期間に限られてしまった。
 例えばこれが自由に移籍ができるのであれば、岡山のベンチはこの4人だけではなかったはずだ。同日に開催された中国リーグには、選手名鑑に記載されている選手も出場していたのだ。

 昨今Jリーグはチームに対して数々の要望を出している。クラブライセンス制の導入はその最もたるものだろう。その中でJリーグからの分配金は減少傾向にあり、湘南のような親会社を持たないクラブや岡山のような比較的新しいクラブは知恵を絞って強化に励んでいる。Jリーグが用意したサテライトリーグが機能しなかった。それではやめます。若手の育成のために別チームを作るのは自由だが移籍は自由にできません。それではあまりにもチームに依存しすぎなのではないだろうか?

  若手の強化という目的があって設立されたサテライトリーグは結果的に失敗に終わっている。しかしそれに変わるものはJリーグからは提供されていない。このアマチュアチームでの強化という方法は非常に理にかなっていると感じる。例えばこの方法を発展させたものをJリーグは提供できないのだろうか? 若い選手の成長こそ、リーグを発展させるためには必要なはずだ。ぜひJリーグには一考してもらいたいと、この試合のメンバーを見て思った。


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